日本
日本はすでに、気候変動による壊滅的な影響を受けています。本レポートは、低·中·高排出経路において、2050年および2100年までの気候変動の影響を科学的に予測したものです。
科学的に、日本が高排出シナリオをたどると、気候の影響が悪化することがわかっています。早急に対策を講じなければ、熱波は15倍以上長く続き、農業の干ばつは22%長く続き、日本の米の輸出ができなくなります。海面上昇、海岸浸食、天候の悪化が重なると、日本経済は大混乱に陥り、2050年までにGDPの約3.72%を失い、2050年だけで沿岸のインフラに4040億ユーロの損害が発生すると予想されます。
日本が低炭素政策を早く導入すればするほど、気候変動の影響は連鎖的に少なくなり、対処しやすくなります。気温の上昇を2°Cに抑えると、日本における気候変動の影響によるコストは、2050年にはGDPの1.6%、2100年には3.47%にまで低下すると考えられます。
Image © Masaya Noda / Greenpeace
気候
日本における気候変動の過去、現在、未来のシナリオを探ります。このセクションでは、最新の気候科学モデルを用いて、気候変動が日本の気温と降水量の傾向にどのような影響を与えるかを説明します。 今回の研究では、高炭素シナリオでは、2050年までに日本の気温が2.4°Cも上昇する可能性があることがわかりました。低炭素シナリオでは、これが1.5°Cまで下がります。
海洋
日本を取り巻く海の海水温度はどのように変化してきたのでしょうか?また、将来の気候変動の傾向は、重要な生態系や生活にどのような影響を与えるのでしょうか?このセクションでは、高炭素シナリオでは、日本の表面海水温が2050年までに1.7°C上昇し、海の酸性化が急激に進み、漁獲可能量が10.6%も減少することを示しています。
沿岸部
気候の変化は、日本の沿岸の居住地、インフラ、生態系に壊滅的な影響を与える可能性があります。海面上昇、沿岸浸食、暴風雨のパターンの変化により、高炭素シナリオを たどった場合、日本では、2050年までに壊滅的な洪水にさらされる人々が増加する可能性があります。低炭素シナリオを たどって、気候変動に強い沿岸インフラに投資することで、日本では、最悪の沿岸被害を回避することができます。
水資源
きれいな水は、すべての生命の基盤です。このセクションでは、気候変動による影響が拡大し、日本の水へのアクセスが脅かされていることを示しています。今後数十年の間に干ばつの長期化、海面の上昇、異常気象が増加し、最も貴重な資源である水を枯渇させることになると考えられます。その結果、農業、漁業、インフラ、観光などに影響を与え、莫大な経済的コストが発生します。低炭素シナリオのみが被害を抑えることができます。
農業
農業は日本の経済の中核であり、年間GDPの約0.9%を占めています。このセクションでは、気候変動が日本の農業に与える過去、現在、未来にわたる影響を示しています。気候変動が作物の生産性に影響を与え、日本の水資源にさらなる負担をかけ、低炭素シナリオをたどったとしても、干ばつにより水の需要が2050年までには最大4.9%増加すると言われています。
森林
森林はきれいで健康的な空気にとって重要であり、生態系と経済の繁栄を支えています。このセクションでは、気候変動が日本の森林に与える過去、現在、未来にわたる影響を示しています。炭素濃度が高いままであれば、森林が大幅に減少し、日本の農業、林業、観光業に損害を与えます。早急に 対策を講じ、低炭素社会を実現させることで、 森林を最悪の影響から守ることができます。
都市
日本の都市は、気候変動による多くの脅威に直面しています。早急に対策を講じない限り、異常気象の増加は国中の都市コミュニティを襲い、重要なインフラを破壊し、莫大な経済的損失をもたらします。熱波の増加と空気の質の悪化は、都市住民の健康を害し、多くの人々の命を奪うことになります。
健康
環境の保全は、日本の人々の健康に不可欠です。早急に対策を講じなければ、気候変動は、熱波の長期化、海面の上昇、致命的な暴風雨を引き起こし、日本の経済に悪影響を及ぼします。貧困率が高まれば、健康への影響も悪化します。低炭素社会の実現により、日本は人々の健康状態を改善し、生命を救うことができます。
エネルギー
気温の上昇と熱波の深刻化は、日本のエネルギー体系に影響を与え、エネルギー需要のプロファイルを変化させます。
経済
熱波、干ばつ、火事、洪水、暴風など、日本は気候変動による複数の脅威に直面しています。農業、漁業、インフラ、観光など、さまざまな分野で、経済への影響は甚大なものになる可能性があります。早急に対策を講じなければ、日本は 2050年までにGDPの3.72%を失うことになります。この数字は、2100年には10.7%にまで上昇します。今、低炭素経済に投資することで、日本は損失を2050年までに1.6%に抑えることができます。
政策
このセクションでは、世界の排出量と比較した場合の日本の過去と現在の排出量、および同国が採用している目標と公約について説明します。日本は、G20諸国の中で8番目の排出量を持つ国です。低炭素の未来を確保するためには、日本において早急な政治的取り組みが必要です。